世界樹の迷宮Ⅳ

この道は北へつづいてる(旧版)

辺境都市タルシスに結成されたギルド『銀の稲穂団』のお話。完結済み。約41.7万字。改訂新版は同人誌にしました

  1. 剣士ギノロットと辺境タルシス 1[9402字 約18分]
     幌の向こうの御者と、相乗り客に「ありがとう、元気で」と言って、彼は乗合馬車から飛び降りた。長い距離をともにした相乗り客
  2. 剣士ギノロットと辺境タルシス 2[7577字 約15分]
     募集用紙には定形があり、いくつかの項目を満たせば、すぐに仲間を募る掲示用紙になる。ブレロがギルド名やら人数やら目的やら
  3. 狙撃手レリッシュと迷宮の戦い 1[6480字 約12分]
     迷宮を探索するようになってひと月が経とうとして、銀の稲穂団はようやく集団のまとまりをもって魔物に挑めるようになっている
  4. 狙撃手レリッシュと迷宮の戦い 2[10371字 約20分]
     店は本来カフェの時間で、バーはしていないらしかったが、滅多なことでは寄りつけぬ男性が三人もいるならと、店主が特別に計ら
  5. 印術師ワイヨール[1844字 約3分]
     空に刻んだルーンが光る。かざした左手のロッドから、魔力が漏れて元素に戻ってゆく。詠唱の最後の一言をささやくと、元素は転
  6. 銀の稲穂団と楽しい川遊び[8902字 約17分]
     タルシスのこの地方らしい初夏の快晴を背に、ギノロットはもどかしく筋肉をほぐしている。この日の彼は冒険者ではない。単なる
  7. 銀の稲穂団と碧照ノ樹海[10898字 約21分]
     レリッシュは間髪入れず矢をつがえた。前のめりに倒れる赤熊に向かって弓弦をぎりきり言わせ、今度は心臓に狙い定めて射ち放っ
  8. 深霧ノ幽谷と言葉なき歌[5453字 約10分]
     霞の魔物ホロウにさらわれた巫女の姿を探して数日が過ぎても、未だ核心には至らなかった。巫女の姿は深霧ノ幽谷のどこにも見え
  9. 銀の稲穂団と雪との遭遇[3755字 約7分]
     二つ目の封印の先には、極限環境が広がっていた。雪に閉ざされた世界だった。谷間から吹き込む風がいやに冷たく底冷えさせるも
  10. レリッシュと街のノラネコ[10099字 約20分]
     レリッシュにはアパートがある。もちろん、所有しているわけではない。大家に借りている一人用のアパートで、とても小さな部屋
  11. 医術師マドカと白いモモ[13352字 約26分]
     いつもひと気の少ない冒険者ギルドの裏庭で、助けてとマドカに懇願された時、ワイヨールは「もちろんいいよ」とすぐ頷いた。マ
  12. 騎士ブレロの個人的事情[9062字 約18分]
     ブレロには母校というものがあった。彼が正しく城塞騎士の資格を得た、タルシスでは名の知れた騎士学校である。図書館や古書店
  13. 帝国の皇子と世界樹の巫女[1354字 約2分]
    「そなたがウロビトの巫女――世界樹の『心』か」「あなたは……?」 異国の装束に身を包んだそれは、蚊の鳴くような声を出
  14. レリッシュと風止まぬ書庫[3364字 約6分]
     北からの暴風に逆らいながら訪れた小さな迷宮では、藤の花がさながら吹雪のように舞い散っていた。東から明るい光が斜めに差し
  15. ブレロと銀の稲穂団 1[13471字 約26分]
     お客さまがいらしていますよ、と寮母に言われたマドカは、小首を傾げてしまった。免疫系の自習に没頭していたので、お客の予定
  16. ブレロと銀の稲穂団 2[10891字 約21分]
     その日の『銀の稲穂団』の集合は必須ではなかった。ただ帳簿をつけるのを済ませたかったので、ワイヨールが冒険者ギルドの会議
  17. ブレロと銀の稲穂団 3[13386字 約26分]
     体中に衝撃が走り、苦しくなって目が覚めた。飛び起きたいほど苦しかったが恐ろしく胸が気持ち悪いし、頭がズンと重たい。ブレ
  18. ブレロと銀の稲穂団 4[12236字 約24分]
     セフリムの宿に戻るとブレロの元には一通の手紙が届けられていた。話によると到着したのは、どうやらブレロが黒馬車に乗せられ
  19. ワイヨールと手紙[1943字 約3分]
     夕食を食べ終えたワイヨールは、酒場の片隅でアルコールを傾けながら、一通ずつに目を通していた。まったくおかしな手紙の束だ
  20. ギノロットの最後の咆哮 1[9954字 約19分]
     ギノロットは苛立っていた。やっぱりここは大嫌いだ。藤の花なんて見たくもない。木偶ノ文庫なんて言葉も二度と聞きたくない。
  21. ギノロットの最後の咆哮 2[11863字 約23分]
     竜の巣が作れそうなほどに巨大な大広間に、見上げるほどの一塊が落下してきたときから、決戦が熾烈を極めることは明白だった。
  22. ギノロットの最後の咆哮 3[8065字 約16分]
     次に目覚めたときは、死にたいほどの思いはしなかった。むしろ穏やかな目覚めだったが、ただ体が冷たくて、くらくらした。  
  23. ギノロットの最後の咆哮 4[5823字 約11分]
     ワイヨールは左肩に氷嚢を当てながら、黙ってマドカのお説教を聞いている。マドカはカンカンだ。予想以上に叱られている。おそ
  24. ギノロットの最後の咆哮 5[7017字 約14分]
     ワイヨールが虚しく転がる病室に人が訪ねてきたのは、ギノロットがいなくなって少ししてからだった。明るく笑う客人がやってき
  25. ギノロットの最後の咆哮 6[13394字 約26分]
     ギノロットが洗面所から戻ってくると、病室はもぬけの殻で、独特の鼻を突く消毒臭さと、さんざん剥かれたオレンジの匂いが残っ
  26. ブレロ・アクロバティク 1[10948字 約21分]
     ブレロに残されたのは、金の子豚のへこみ傷であった。黒く煤けたのは磨けばよかったが、メッキが剥がれて子豚の体がえぐれてい
  27. ブレロ・アクロバティク 2[8623字 約17分]
    「まったく馬鹿なんじゃないの」 帰路につきながらワイヨールが、もはや何度目かわからない台詞をまたしても繰り返した。ブレ
  28. 魂の淵[11258字 約22分]
     周囲を見渡し、普段と比べて変わりのないことを、ワイヨールは静かに確認した。裸足に感じるがれ場のごつごつとした感触も。し
  29. 彼の空虚と辺境ノ文庫[15876字 約31分]
     冒険者ギルドから少し離れてはいたが、ギノロットはそこのキャラメルミルクコーヒーが好きだった。ちょっと焦がしたキャラメル
  30. くすぶり 1[8383字 約16分]
     フェルナンはたまたまブレロの顔をしていなかった。祖父と一緒に夕食がてら『孔雀亭』を訪れたので、きちんと身なりを整えてい
  31. くすぶり 2[9694字 約19分]
     二班女子会はみんな大好きパステルピンク・カフェで速やかに開催された。箔押しのカードを囲みつつ、件のエドワルドがイケメン
  32. 銀のレイヴン 1[11941字 約23分]
     冒険者ギルドにはローゲルによって、世界樹に隠されていた例の遺跡の調査結果がもたらされた。『煌天破ノ都』と名づけられた遺
  33. 銀のレイヴン 2[14019字 約28分]
     ようやく人並みの顔ができるようになったレリッシュがニョッタと酒場に戻ってみると、大量の空きグラスに囲まれてギノロットは
  34. 銀のレイヴン 3[13580字 約27分]
     他のギルドとの打ち合わせのために『大会議室』を訪れたのは初めてで、失敗した。椅子が多すぎてどこへ座ったらいいか分からな
  35. 呪い[11694字 約23分]
     タルシスはすっかり秋が深くなった。家路に就く時間になると人の影は伸びて、赤や黄色に染まった葉に長く掛かる。秋風が身に染
  36. くすぶり 3[6132字 約12分]
     と、いうわけでだ。 「聞いたわよ」  やや久々に冒険者ギルドにやって来たメディック・マドカは、現れるなり『お誕生日席』
  37. 銀のレイヴン 4[14658字 約29分]
     新しい突剣を鞘から引き抜き、ヒルトとタングがしっかり留まっているか具合を確かめる。ギノロットが初めて迷宮で頼りにする突
  38. 銀のレイヴン 5[10344字 約20分]
     問題は、金剛獣ノ岩窟が深霧ノ幽谷に通じる迷宮であるのか、ということだった。もし通じているのならば当然その道を見つけたい
  39. 火をともせ[15220字 約30分]
     腹のくちいギノロットはもう眠りたかった。大体、ギルドのシャワー室を借りて汗を流した時点で、すでに彼の中で一日が終わりか
  40. シルヴン 1[6542字 約13分]
     だが『銀の稲穂団』はそれどころではなかった。  残る最後の認証を得られて、煌天破ノ都の封印は解かれたが、煌天破ノ都へ繰
  41. シルヴン 2[12424字 約24分]
     しとどな汗の感覚さえ失いかけていた。目の前のものさえよく見えず、四肢は痺れるように痛む。しかし高貴に生まれた血が、けし
  42. 帝国の皇子と世界樹の巫女[1125字 約2分]
     呼び声が聞こえて目を覚ますと、バルドゥールは自分がまだ生きていることを知った。視界はぼやけて、手足は重くままならず、呼
  43. 桟橋[7128字 約14分]
     病院に放り込まれたワイヨールは翌朝に目覚めたが、早々に自主退院してずっと冒険者ギルドには顔を出さなかった。  冒険とか
  44. オークション・ハウスへようこそ[9052字 約18分]
     銀の稲穂団の女子たちは影からコソコソ仲間の男性陣を探した。オークションハウス前の広場は見物客でも参加者でも社交の場とし
  45. ギノロット、もう六年やる[8206字 約16分]
     しがみつかんばかりに頼んでくるので、ギノロットは「分かった、分かったから」とブレロを座らせる。ギノロットは渋々冒険者を

短編・番外編

設定出しのために書いたものが多いので、本編と共通するようで違うかもしれません。自家製二次小説みたいなものです。

  • 銀稲の苗[6534字 約13分]
     遠乗りから帰って馬の体にブラシをかけていたフェルナンは、父の提案を聞いて驚いた。寄宿舎のある学校に通うだって? 考えた
  • 黒い谷に嵐[3484字 約6分]
     凄まじい風に体を巻かれて、レリッシュは腕で顔を覆うしかなかった。束ねた髪がきつく煽られ、大切な魔除けのリボンが漆黒の空
  • 満たしてくれない[1380字 約2分]
     女の子を一人振ってきた。面倒くさくなった。ああもう面倒くさい。本当にやってられないったらない。こういうときはコーヒーが
  • ギノロットと羽根の妖剣[7145字 約14分]
     新しく頼んだ突剣がやっと完成する日、ギノロットが期待しながらベルンド工房に顔を出すと、看板娘は金髪をおもちゃみたいに跳
  • その手紙には(ワイヨール)[790字 約1分]
     ワイヨールの手には一通の手紙が握られている。それは急いで手にしたらしい紙切れで、よく見なければ判らないような文字でたっ
  • ブレロ、女子寮に赴く[4397字 約8分]
     結局マドカは留年してしまった。彼女の知性は申し分ないが、単位ばかりはごまかしが利かない。単位なき者に与えられる罰、それ
  • 訪う[1414字 約2分]
     支度を済ませて寝台の毛布をめくると、それを察知した眠れるギノロットが薄く目を開け、ヨーカにゆるゆると腕を差し出してきた
  • 身にまとう[3329字 約6分]
     朝からどうしようもない脱力感に襲われて煙草が欲しくなるときがある。理由は分からない。ただあの苦い不味い煙の臭いを嗅ぎた
  • その手紙には(ブレロ)[773字 約1分]
     ブレロの手には一通の手紙が握られている。それは金箔の散りばめられた気品漂う便箋で、癖のある特徴的な文字でたった一言、「
  • 老いたる渡鴉の氷龕[8421字 約16分]
     時として倦むほどの晴天に、タルシスは恵まれる。空は抜けるように青く、この地方特有の強風に雲が流されていく。数日

架空のbot

キャラのネタ出し & 銀の稲穂団のTwitter botが欲しいが作るのが面倒くさい(のでツイートだけある)

いただきもの

本当にありがとうございます!